エコノミー症候群にも程があるのです

とにかく満員なのです。ですから窓から風も入って来ません。立ち客もぎっしりでした。割と小柄なベトナムの方たちですから、余計に沢山乗り込んでいて、これだけ詰まっていれば頭上の空間は熱気のたまり場にしかなりません。それで昼午後４時過ぎにバスは出発した。

『あんたはハノイまで行くのか』と、隣の男に尋ねてみると、彼はダナウェーで降りるらしい。成る程、途中でどんどん降りるのだな。でも待てよ、それなら途中で乗ってくるという事か・・・。もうどうでもよくなってしまいました。バスは走るサウナです。それもじゃが芋をぎっしりと詰めた蒸し器のよう。汗でむせ返り、車内には蠅や蚊も沢山いるのです。どうすればいいと言うのか・・・。

夜になっても眠れません。脚も腰もエコノミー症候群状態でした。私の膝の上にはバックパックがその上にのしかかる知らない人。血が通わないので、感覚がありません。ハノイに着くのは何時かと隣の男に尋ねると、明後日の夕方っと答えたのです。何でだ！１日長くなっているのだ。夜の８時にバスは川を渡るために船に乗る。乗客たちは 順番待ちをするバスを降りてやっと外に出ることができるのです。私は全く椅子から起き上がれず、のた打ち回るように悶えながら、バスからはい出たのです。『もういやだ・・・。』空には満天の星がかなり遠くの方で輝いて見えました。

まだ続きます。